棋士とノーベル賞受賞者の共通点
2019年04月09日
平成最後の4月を迎えました。「平成」を振り返りながら、新しい元号「令和」の始まりに際し、気持ちも新たにスタートしたいと思います。
平成を締めくくる30年度は、前年度に続き、棋士の藤井聡太七段のご活躍がとても印象に残っています。今年も年間勝率1位(0.849)を成し遂げられ、常に対局の様子はニュースでも取り上げられていました。なぜ、これほどまでに全国の方々が藤井七段に魅了されるのか。藤井七段の魅力的な将棋の内容や最年少棋士(16歳)であることも理由だと思いますが、何よりも一局一局に真摯な姿勢で臨まれる姿やインタビューなどの発言において、常に謙虚さと誠実さが溢れており、そこに老若男女問わず惹きつけられ応援したくなる要素があるのではないかと思います。「謙虚さ」は謙遜や卑下とは違い、「純粋な心」や「素直な心」をもって物事に当たるからこそ生じる心や言動です。その純粋でひたむきな姿勢に、多くの方が心惹かれるのだと感じます。
お二人から改めて、日常の誠実さや謙虚さが大切であることを感じます。キャリアの理論でも誠実さ、謙虚さは、重要な要素です。「目の前のことに謙虚に誠実に取り組む」ことは、自分の成長を進め、自然な支援が集まり、意図せずとも結果へとつながっていきます。簡単なようですが、それを貫くことは非常に難しいことです。だからこそ、それを体現している人に惹きつけられるのだと感じます。
最後になりましたが、平成30年度の個人的に嬉しかったニュースをひとつ。本学卒業生から「女流棋士」が誕生しました(※2014年の学長のコラムにも登場、当時1年生)。当時からとても印象に残っている学生さんでしたが、厳しい世界で自分の選んだ道を、ひたむきに誠実に進まれていることを強く感じます。短大時代は「かまいたち」が得意戦法だったという彼女でしたが、ユニークでチャーミングな個性を大切に益々ご活躍されることを心より応援しています。
「令和」の始まりに際し、私も改めて、目の前にある教育と研究の活動に、謙虚に誠実に取り組んでいきたいと思います。